奈良は吉野に行ってきました(2)-中千本と絶品おそば-

 

―吉野山奥へ奥へと行くわれに金峯山寺が背をみつめつつ―啓―

 

さて、金峯山寺をあとにして吉野山を進みます。歩き出して数時間、お腹もすきましたので何か食べようときょろきょろしながら歩いていると、古民家を改築したお蕎麦屋さんがあり、こじんまりした佇まいも好ましくて暖簾をくぐりました。

『矢的庵』さんのおそば、絶&品です。
http://www.yamatoan.com/original2.html

「矢的庵」さんという屋号でたたきから上がり、十六畳くらいの畳敷きの客席に六卓ほどのテーブルが並んでいて、席に着くと四十前くらいの店主さんがそば茶を運んできてくれます。

田舎もりそば一枚と季節のてんぷらを頼んだのですが、これがもう絶品! でした。田舎もり蕎麦は挽きぐるみの野趣あふれるそばで濃くて甘いつゆと相性もよく、水切りの良いそばがのどを通る快感はたまらんものがあります。新そばのころはどれほどのものなのでしょう。晩秋の吉野、紅葉とそばを愛でに来るのもいいですね。

春ですとこの展望の多くは桜の
花のうすべにに染まるそうです。

てんぷらがまたよろしいのです。たまねぎは甘くて、しし唐の味の濃さ、新生姜のてんぷらはさくりとした衣が割れたところからしみでる辛味、その驚きとさわやかさといったら。夢中になってたべました。ついついおそばをもう一枚頼みました。田舎もりが品切れとのことで普通のもりを頼んだのですが、清い香りはこちらが上で、山葵を効かせていただくと実に乙なものでした。いや、矢的庵さん、お見事、なのでした。

 

さて、お腹が満足したので散策再開、ところどころに展望のきく場所があり、それぞれにいい眺めで、だいたいのところで金峯山寺の桧皮葺の屋根が旅行く者を見守るように姿を見せてくれます。

日本の建築史上最古(鎌倉時代)の書院をいまも保つ吉水神社を参拝して、後醍醐天皇の玉座や弁慶が坐して思案したという一画などがあり、宝物も後醍醐天皇ゆかりのもの、義経ゆかりのものなどが豊富にあって見ごたえがあります。

遠くから金峯山寺が見守ってくれます。

大日寺という小さなお寺で五智如来さま(大日如来を中心に如来さまが五尊おわすのです)をお参りしつつ、展望に驚かされつつ上千本に向かいます。

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